2024年03月
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DNA 塩基はどのようにして一本鎖に配列するのか? インドで研究

インド理科大学院(IISc)の生物科学研究科の研究者らが、一本鎖DNA (a single DNA strand)の塩基間相互作用についての基本的特性を解明した。これにより今後、複雑なナノデバイスの構築やDNA構造の基本的側面の解明につながる可能性があるという。科学誌nature indiaが1月30日に伝えた。研究成果は学術誌Nature Nanotechnologyに掲載された。

塩基対形成(対向鎖上の塩基間の相互作用)は、二本鎖DNA (double-stranded DNA)では広く知られているが、塩基のスタッキング(同じ鎖の塩基間の相互作用)については、あまり研究されていない。IIScのマヒパル・ガンジー(Mahipal Ganji)博士率いる研究チームは、この相互作用について研究を行った。

研究チームは、16通りの塩基スタッキングについて調査するために、室温の緩衝液中で、2本の人工DNA鎖のランダムな結合と結合解除を画像化した。一方の鎖に結合時に発光する分子をタグ付けし、この鎖をもう一方の鎖に重ねる実験を行った。蛍光顕微鏡で観察したところ、DNA鎖に塩基を積み重ねる相互作用を1つ加えるだけで、DNA鎖の安定性が250倍も向上することがわかった。

また、研究チームはヌクレオチドのペアにはそれぞれ固有のスタッキング強度があることも発見し、高効率の3アームDNAナノ構造を設計することができた。このDNAナノ構造は、特定の疾患マーカーを標的とし、標的療法を提供するための媒介として使用できる可能性がある。

研究チームによれば、この研究成果は、一本鎖および二本鎖DNA分子の基本的な特性とその修復メカニズムの研究に利用できるという。修復に失敗するとがんを含む多くの病気につながるため、この知識は重要である、と研究チームは付け加えている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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