2024年04月
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ベンガル湾で古代の微生物が作った巨大磁石を発見 インド

インドのゴアにあるCSIR国立海洋学研究所(CSIR-NIO)の研究者チームが、ベンガル湾の5万年前の堆積層から巨大な磁気化石(微生物が残した大きな磁気結晶)を発掘した。科学誌nature indiaが3月5日に報告した。研究成果は学術誌Commun Earth Environに掲載された。

磁性を持ったバクテリアは、水中や堆積物の酸化還元環境の変化に対応するため、マグネタイト(鉄酸化物)やグレイガイト(鉄硫化物)からなるナノサイズの結晶を作る。この結晶は磁性化石として知られ、バクテリアが死滅すると環境中に残される。これらの化石は堆積物中の磁気に寄与し、過去の地球環境の変化に関する情報を提供する。今回発掘した磁気化石は、現在までに報告された中で最も若い巨大磁気化石であるという。

CSIR-NIOの研究者らは、土砂を運ぶゴダヴァリ川やクリシュナ川、ペナー川の影響を受けるベンガル湾南西部において、長さ約3メートルの堆積物コアを採取した。シルト質粘土を主成分とする堆積物コアからは、海底に生息する底生有孔虫と水中を漂流する浮遊性有孔虫の両方が見つかった。

研究チームは、コア断面の磁気分析と電子顕微鏡を使って、針状、紡錘状、弾丸状、槍の穂先状の巨大な磁気化石を同定し、磁性化石を過去42,700年にわたる堆積物コア全体で見つけた。

研究者らは、河川によって運ばれた反応性鉄と有機炭素が酸素不足のベンガル湾に流入した際、生物利用可能鉄とエネルギー源の有機炭素が結合し、巨大な磁気化石を生成する生物の成長を助けたと推定している。論文の著者らは、こうした環境条件が続く限り、巨大な磁気化石を生み出す生物は繁栄し続けると考える。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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