米国シンクタンク「カーネギー国際平和基金(Carnegie Endowment for International Peace)」のインドの政策シンクタンク、カーネギー・インディア(Carnegie India)は4月12日、4月から6月にかけて行われるインドの総選挙において外交政策が重要な焦点の一つになるとの分析を公開した。
インドでは伝統的に、外交政策はもっぱらエリート層の関心事とみなされてきたが、近年、一般市民の間でも重要な問題として注目されるようになっている。一般のインド人にとって外交政策が重要な意味を持つようになった背景には2つの要因がある。
第1の要因は、国際秩序の変化に関連した地政学的な構造変化である。国際秩序の細分化により、インドが外交で影響力を発揮する余地が生まれている。
第2の要因は、モディ首相率いる現政権がインドの大国としての国際的地位を確立すべく積極的な外交活動を行っていることである。与党インド人民党(BJP)は、国内に向けてその外交実績をアピールし、有権者の支持を固めようとしている。2023年ピュー世界意識調査によると、インド人の10人に7人近くが、自国の世界的影響力が強くなっているとみなし、10人に8人がモディ氏の首相としての手腕に好意的な見方をしていた。また、都市部の若いインド人を対象とした最新の国内調査では、外交政策を含むモディ政権に対する満足度が非常に高いことを示していた。
一方で、カーネギー・インディアの分析では、インドの外交政策の行き過ぎがもたらすリスクにも言及しており、外交的冒険主義は与党の人気をさらに高める可能性が高いものの、他国との緊張関係や意図しない国内外の影響を生じさせる可能性があると指摘している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部