2024年08月
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ジュゴン保護重要海域、現在の海洋保護区の外にあることが判明 インド

インド野生生物研究所(WII)の研究者らは、新たなモデル研究から、海洋保護区(MPA)のネットワークを拡大し、現在ジュゴンが保護されていない海域を含めることを提案している。科学誌nature indiaが7月8日に伝えた。研究成果は科学誌Scientific Reportsに掲載された。

インドが保護するジュゴンの生息地は、乱獲の影響を受けている海域も含めて15%に満たない。デラドゥンにあるWIIの研究者たちは、アンダマン・ニコバル諸島、ポーク湾と マンナール湾、カッチ湾における海洋哺乳類に最も適した海域を予測するため、海草の分布やジュゴンの目撃情報などの環境変数をモデル化した。

また、あらかじめ質問事項を定めた方法を使用する半構造化アンケートや一般市民が科学研究に関わるシチズン・サイエンス、ボランティアネットワーク、現地調査からのデータは、ジュゴンに影響を与えるリスクの高い海域を特定するためのシミュレーションに役立てられた。そして、一次調査によってこれらの海域が検証され、重要なジュゴンの生息地(CDH)として分類された。

この研究により評価された高リスク海域のうち、アンダマン・ニコバル諸島で保護されているエリアはわずか5.5%、ポーク湾とマンナール湾では約28%、カッチ湾の海洋国立公園とその他の海洋・沿岸保護地域では約37%であった。研究チームは、現在保護されている海域やMPAの外側に予測される海域を含め、ジュゴンに影響を与えるリスクの高い海域をすべてCDHに分類することを提案している。

今回の研究は、海草がジュゴンにとって好ましい場所を特定する大きな要因であることを明らかにした。また、ジュゴンがポーク湾とマンナール湾の海草藻場間で季節的な移動が行われている可能性を示した。特にモンスーン後の時期は、スリランカ沿岸の海草生息地からの越境移動の可能性が示唆された。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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