2024年09月
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大気汚染に起因した死亡者数の減少には環境基準値の見直しが必要 インド

インドの独立調査機関サステナブル・フューチャーズ・コラボレーションの研究者らが、現状のインドにおける大気汚染の環境基準値が高く、大気汚染に起因した死亡者につながっていることを指摘し、環境基準値を見直すよう求めた。科学誌nature indiaが7月30日に伝えた。研究成果は科学誌Lancet Planet. Healthに掲載された。

インドの10都市では、毎年3万3000人もの人々が、一般的な環境基準では安全とされる空気を吸って死亡している。国連機関の大気環境基準値は1m3あたり5µg以上のPM2.5を過剰とみなしているが、インドの大気環境基準は年間平均濃度を1m3あたり40µgまで許容している。

サステナブル・フューチャーズ・コラボレーションのバルガヴ・クリシュナ(Bhargav Krishna)氏は、「現在の基準は2009年に設定されたものだが、それらを基準とした根拠の多くは公表されていない。ただ私たちが調査したほとんどの都市は、この基準に適合しています」と述べた。

大気汚染に起因した死亡者の大部分は、低~中程度の曝露レベルに集中しているため、公衆衛生向上のためには基準を厳しくする必要がある、とクリシュナ氏は考える。この研究では、2008~2019年までのインドの都市におけるPM2.5のデータと毎日の死亡者数の調査が行われた。

著者らは、当局がデリーと隣接地域に適用している段階的大気汚染対策(GRAP)を再検討することを提案している。GRAPが通常適用されない低~中程度の大気汚染地域でさえ有害である可能性があるため、通年で対策を行うことが重要であると考える。

大気質生活指数(AOLI)2021のデータによると、インドの有害粒子の基準をWHOの基準に合うように下げれば、インドの平均寿命は5年延びると考えられている。しかし、そうした変更の可能性はかなり難しいかもしれないと、デリーにあるシカゴ大学エネルギー政策研究所の大気質生活指数ディレクターのタヌシュリー・ガングリー(Tanushree Ganguly)氏は考える。タヌシュリー氏は、「定期的に大気汚染の環境基準をチェックし、健康に与える新たな証拠を示せない限り、その実現はないと思われます」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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