インド工科大学デリー校(IIT-D)は8月1日、同大学の科学者が電子・情報技術省(MeitY)の支援するナノエレクトロニクス・ネットワーク(NNetRA)プロジェクトの下、2件のヘルスケア技術を開発し、民間に技術移転したと発表した。
この技術移転の式典は7月31日、IIT-Dで行われた。病原体検出のための「フォトニックチップベースの分光バイオセンサー(Photonic Chip-based Spectrometric Biosensor)」は、ムンバイにあるUNINOヘルスケア(UNINO Healthcare)社のニティン・ザヴェリ(Nitin Zaveri)氏に技術移転された。これにより、病原体を迅速かつ正確に検出することが可能となり、感染症の予防に役立つだけでなく、診断検査のコストも削減できる。この技術は、IIT-Dの光学・フォトニクスセンターと物理学科に所属するジョビー・ジョセフ(Joby Joseph)教授率いる研究チームによって開発された。
もう一つの「前立腺がん検出のためのDNAアプタマー」と名付けられた技術は、コルカタのフムサ・バイオテック(HUMMSA Biotech)社のスワプニル・シンハ(Swapnil Sinha)博士に技術移転された。この技術は、迅速で正確な前立腺がんの検出を可能にする。ターゲットとする分子に特異的に結合する核酸断片やペプチドを意味するアプタマーは、被検者の傍らで検査することができるポイントオブケア(PoC)機器に組み込むことができ、新規薬剤としても機能する。このアプタマーは、IIT-D生化学工学・生物工学科のプラシャント・ミシュラ(Prashant Mishra)教授率いる研究チームによって開発された。
式典に出席したMeitYのS・クリシュナン(S・Krishnan)事務次官は、これらの技術移転の成功を祝し、「技術移転がイノベーションや協力、持続可能な開発を推進し続ける未来を描いています。そのためには、技術の採用、実施、商業化を成功させるための対策が必要です」と述べた。
IIT-Dのディレクターを務めるランガン・バネルジー(Rangan Banerjee)教授は、MeitYのNNetRAイニシアチブと継続的な支援を称賛した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部