インド宇宙研究機関(ISRO)が探査機や人工衛星などの事業において、人工知能(AI)を広く活用しているという。インドのAI関連のポータルサイトINDIAaiが8月22日に伝えた。
AIは様々な産業で急速に重要な技術となり、その役割は宇宙探査においても顕著である。データ分析、予測的インサイトの提供、自律的なナビゲーション、ミッション運用の最適化、迅速な異常検出など、宇宙研究機関においてAIは広く活用されている。ISROでも例外ではなく、AIはこれまで、組織の成果において重要な役割を果たしているという。2024年8月23日に最初の「全国宇宙の日」を祝うにあたり、ISROが最近のプロジェクトでどのようにAIを活用しているかを見ていく。
まず挙げられるのが、チャンドラヤーン3号(Chandrayaan-3)にて、AIが探査機プラギャン(Pragyan Rover)の通信と制御において重要な役割を果たしたことだ。AI技術により、探査機プラギャンは着陸機ビクラム(Vikram)との安全な着陸やナビゲーションを支援し、地表の静止画像を地球に送信して解析することができた。この成功により、インドは成長する世界の宇宙市場での影響力を強化した。
また、AI搭載のセンサーは、着陸機が月面に着地する際の安全確保に重要な役割を果たした。この技術は、着陸機のハザード検出と回避カメラを支援し、月の地形を予測することで軟着陸時のリスクを低減することに役立った。
さらに、ISROは今後5年間で50基のAI搭載の新しい人工衛星を打ち上げる計画を発表している。ISROのS・ソマナトゥ(S. Somanath)会長は、AI関連およびデータ駆動型のアプローチを取り入れることが重要であると語っている。これらのアップグレードされた衛星のデータ収集により、国への脅威をより効果的に軽減できるだろう。
その他、打ち上げ機の開発、宇宙機の運用、ビッグデータ分析、宇宙ロボティクス、宇宙交通管理など様々な進行中のプロジェクトにおいて、AI技術は必要不可欠な要素である。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部