2024年10月
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ホテイアオイが新生息地に適応する遺伝子を特定 インド

インド科学教育研究大学(IISER)ボーパール校の研究チームは、水生植物のホテイアオイが新たな生息地で適応するための遺伝子を特定した。科学誌nature indiaが9月10日に伝えた。研究成果は学術誌iScienceに掲載された。

ホテイアオイのゲノム配列は、全体が重複を示し、タンパク質をコードする遺伝子が多数存在する。これらの遺伝子は、植物と病原体の相互作用、ホルモンのシグナル伝達、光合成、非生物ストレス耐性に関連しており、ホテイアオイが新しい生息地に侵入して適応し、成長する能力に寄与する。また、ホテイアオイは高い光合成効率により、炭素固定に優れた植物であり、地球温暖化などの気候変動を緩和する植物である。

研究チームを率いるヴィニート・シャルマ(Vineet Sharma)氏は、ホテイアオイの根、葉、匍匐茎から採取した遺伝物質を用いて、それぞれの遺伝子の塩基配列を決定した。その結果、4709の遺伝子ファミリーが拡大し、958の遺伝子ファミリーが縮小していた。また、拡大していた遺伝子ファミリーは主に、二次代謝やシグナル伝達、光合成に関与していた。

このホテイアオイを14種の侵略性と非侵略性の水生顕花植物と比較したところ、機能的に影響を与える1272の遺伝子において、アミノ酸置換が認められ、そのうち114の遺伝子は適応進化に関する複数の兆候を示した。また、重金属の毒性に対する耐性を高める遺伝子や、光捕集複合体に関連する遺伝子は、適応進化と重複の兆候をそれぞれ示していた。

研究チームは、ホテイアオイは侵略的植物であるが、新たな環境への適応が高いことから大量のバイオマスを得られ、バイオ燃料に活用できる可能性や、重金属の除去に役立つ可能性があると指摘した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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