インド・ムンバイのタタ基礎研究所(TIFR)と米国フロリダ州立大学の国立強磁場研究所の研究者らは、化学構造に不完全性を取り入れることで、プラスチック廃棄物の分解に重要な役割を果たす固体酸触媒を改良する新たな方法を開発した。科学誌nature indiaが9月23日に伝えた。研究成果は科学誌Nature Communicationsに掲載された。
プラスチックの低分子化を促進する解重合は、化学反応を開始させる固体酸触媒が必要となる。この触媒は大きなプラスチックポリマーを分解するために、ポリマーを収容できる大きな孔をもち、ポリマーと生成される小さな分子が自由に移動できるよう強い酸性である必要がある。このプロセスは、非常に高い温度が必要とされており、二酸化炭素排出量を増大させるため、地球温暖化の一因となる。
論文を発表した研究者らは、欠陥を用いて、以前に設計された固体酸の一種である非晶質酸性アルミノシリケート(AAS)に酸素空孔を生成した。AASは、強酸性のゼオライトとAASのメソ多孔性を組み合わせた固体酸の一種である。研究者らは、マグネシウム粉末を高温で処理し、酸素原子を除去して空孔を生成することで、AASに欠陥を導入した。この材料を酸で洗浄し、未反応のマグネシウムとマグネシウム系副生成物を除去した。これらの欠陥中心により、触媒の酸性度や反応速度が高まり、触媒作用の効率化につながった。また、研究者らは、欠陥を微調整することで、化学物質、医薬品、燃料の工業生産に特化した高性能触媒が可能になると考えている。
TIFRのヴィヴェク・ポルシェッティワー(Vivek Polshettiwar)氏は、研究の成果について、「プラスチックの解重合に必要なエネルギーを削減します。これにより、これまで以上に環境に優しいプラスチックのリサイクルが可能になります」と説明した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部