インド工科大学マドラス校(IIT-M)は10月8日、IIT-Mの研究者が、既存のひずみエネルギー関数モデルの特性の組み合わせを利用して、単一項のオグデンひずみエネルギー関数(オグデンモデルはゴム状材料に用いられる一般的な数学モデル)と統合した非分離指数型ひずみエネルギー関数を考案したと発表した。研究成果は科学誌International Journal of Mechanical Sciencesに掲載された。
論文の著者であるIIT-M応用力学・生物医学工学科のヌルル・ハサン・シャー(Nurul Hassan Shah)氏とシェイク・ファルク・アリ(Shaikh Faruque Ali)教授は、ゴムのような弾性挙動を示す材料の力学を予測するため、信頼性が高く、単純な形式のエネルギー関数の検討を行った。
提案されたモデルはシンプルで、必要なモデルパラメータは3つのみである。このモデルは、ゴムやポリマーベースのハイドロゲルや軟組織に適用でき、薄い球状バルーンの圧力膨張不安定性にもうまく対応する。また、等方性(材料に力が加わる方向に関わらず、同じように反応する性質)で非圧縮性の軟質材料に対しては、ハイブリッドひずみエネルギー関数を提案した。
英国スウォンジー大学理工学部の准教授であるモハマド・ホサイン(Mokarram Hossain)博士は、本研究の成果について次のように評価した。
「ゴムのようなポリマーやハイドロゲル、生体組織などのソフトマテリアルのモデリングは、20世紀半ばから活発な研究が行われてきました。著しい進歩があるにもかかわらず、研究者たちはパラメータが最小限の汎用モデルを見つけようと、今もなお精力的に研究を続けています。提案されたモデルの美しさや効率性は、他では見られない幅広い実験データセットを通じて実証されています。この新しいモデルの顕著な特徴として、同じ数の材料パラメータを持つ古いモデル(合計3つのパラメータ)と比較できることです。論文の著者らが提唱するモデルは、古典的でありながら複雑な問題(すなわち、薄い球形の風船の膨張)を取り上げ、その優位性を証明しています。有限ひずみにおけるソフトマターの構成モデルの分野において、このモデルについてさらなる議論と検討が行われることを期待します」
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部