インド工科大学マドラス校(IIT-M)は10月22日、学内の研究者らが微生物を利用した地質改善プロセスであるバイオセメンテーションにおける生物(B)、化学(C)、流体力学(H)、力学(M)の挙動に対する細菌付着の影響を評価した数値モデルを開発したと発表した。
国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて国際社会が取り組む中、自然のプロセスを利用した環境に優しいエンジニアリングソリューションが求められている。バクテリアなどの微生物は、土壌のミネラルと相互作用し、天然のセメント成分である炭酸カルシウムの沈殿を促す。この微生物プロセスを活用することで、土壌強度を持続的に向上させ、浸透性を低下させることができる。
微生物誘導方解石沈殿(MICP)は、最も広く使用されているバイオセメンテーション技術の1つである。これはSporosarcina pasteurii菌を用いて尿素を加水分解し、炭酸カルシウム(バイオセメント)を沈殿させる。MICPは、地盤の安定化、炭素の地中隔離帯水層の漏れ止め、地中の遮断壁、浸食防止などの用途がある。
論文の著者であるIIT-M土木工学科のパヴァン・クマール・ブキャ(Pavan Kumar Bhukya)氏とダリ・ナイドゥ・アルネパリ(Dali Naidu Arnepalli)教授は、細菌付着の役割に焦点を当て、定数モデル、指数モデル、ガンマモデル、コロイドモデルを含む単純で洗練された付着率モデルを考慮したBCHMモデルを開発した。ほとんどの研究は、方解石分布を正確に把握することに焦点を当てがちであるが、この研究は、さまざまな細菌付着モデルがバイオマス分布とその結果生じるバイオセメント含有量に与える影響について評価した。その結果、土壌バイオセメンテーションの正確な予測には、適切なバクテリア付着モデルを選択することが重要であることが浮き彫りになった。モデルの選択を誤ると、方解石含有量と土壌強度の推定に大きな誤差が生じる可能性がある。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部