2024年12月
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地すべりを迅速にマッピングする方法を開発 インド工科大学デリー校

インド工科大学デリー校(IIT-D)の研究チームが、機械学習とクラウドコンピューティングをベースとして、地すべりを迅速にマッピングできるオープンツールを開発したと発表した。科学誌nature indiaが10月29日に伝えた。研究成果は学術誌Landslidesに掲載された。

地すべりを理解し、被害を防ぐには、空間的・時間的データを得ることが重要である。ML-CASCADEと名付けられたこのツールは、地すべりのクラスタを5分で、単純な事象をわずか2分で地図化することができ、災害後のリスクと被害評価を改善する上で極めて重要なデータを提供することができる。

この方法は、衛星データ、地形データ、植生指標(植物の健康状態を示す指標)、機械学習を組み合わせたものであり、地球観測衛星Sentinel-2から得られた画像と地形要素を用いて、災害後の地形変化が地すべりか非地すべりか分類する。このアプリケーションはGoogle Earth Engineのクラウド・コンピューティング・プラットフォーム上で動作し、ユーザーは地滑りマップを即座に作成できる。

ツールの有効性を判断するためにカルナータカ州西ガーツ山脈のKodagu地すべりとヒマーチャル・プラデーシュ州ヒマラヤのKotrupi地すべりという2つのケーススタディが実証実験に用いられた。Kodagu地すべりでは、ML-CASCADEは5分で正確な地すべりマップを作成し、専門家の評価とほぼ一致した。同様に、ML-CASCADEはKotrupi地すべりの範囲を1分以内に正確に把握し、既存の手作業や半自動化手法に匹敵する結果を得た。

ML-CASCADEの長所は、スピード、使いやすさ、多様な地形への適応性で、低資源環境に適している。欠点は、河岸付近の地形に対して判断の正確性が担保されていないこと、そしてユーザーが提供するトレーニングサンプルに依存するため主観が入ることである。今後の課題としては、異なる地形での精度の向上や、他の災害管理システムとの統合が考えられる。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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