2024年12月
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既存エマルジョンを再形成、高い均一性とサイズ制御を可能に インド

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は11月5日、IIT-Mとスウェーデンのルンド大学の研究者らが、連続フロー音響マイクロ流体技術を開発し、微小液滴の捕捉、合体、分裂を同時に行うことで、液滴粒子径の分布範囲が比較的広い多分散のエマルジョンから粒子径の分布範囲が狭く、比較的均一な単分散のエマルジョンへ再形成することを可能にしたと発表した。研究成果は学術誌Lab on a Chipに掲載された。

エマルジョンとは、油と水のように2つの非混合性液体の混合物である。エマルジョンは、食品業界や化粧品業界、製薬業界で利用されている。このエマルジョンは、サイズの小さいマイクロレベルにおいて、その形成プロセスが複雑である。

マイクロ流体学の分野では、液滴の流体研究が行われており、マイクロ流体デバイス内で液滴の生成や調査、操作が行われている。本研究は、統合された連続フローの中で、マイクロレベルの液滴の高度な制御を可能にし、多分散エマルジョンから単分散エマルジョンへの改良に道を開くものである。

提案された方法は、化学者や生物学者が、標的物質を封入した多分散または不均一な液滴を改良したり、単分散の標的物質に対する試薬の影響を研究するために液滴を混合したりするツールとして役立つ可能性がある。

インド工科大学カラグプール校(IIT-KGP)の教授であり、JC Boseナショナルフェローでもあるスーマン・チャクラボルティー(Suman Chakraborty)博士は、本研究の重要性について「液滴ベースのマイクロ流体システムの1つの目標は、サイズ制御可能な単分散の液滴を生成することです。望ましい特性を持つエマルジョンを生成する手法は既にいくつか知られていますが、既存のエマルジョンの特性を再形成する信頼性の高い手法はありませんでした。提案された技術は、超音波ベースの捕捉・合体・分裂プロセスを利用し、既存のエマルジョンをその場で再形成することで、高い均一性とサイズ制御を可能にしています。この技術を用いることで、生物学者や化学者は、多分散性のエマルジョンの特性を操作することで、単分散にされた試薬が標的物質にどのような影響を与えるかを調査できる可能性があります」と指摘した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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