2025年01月
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アンダマン諸島における外来種の生態系への影響 インド

インドの研究チームがベンガル湾に浮かぶアンダマン諸島において外来種が生態系に及ぼす影響について研究を行っている。研究成果は学術誌Journal of Tropical EcologyJournal of Wildlife Scienceに掲載された。

アンダマン諸島では、様々な外来種が生態系を脅かしているという。その1つが1900年代に英国人により持ち込まれたシカだ。地盤沈下や2004年に起こったアジア大津波の影響でマングローブの50%が破壊されたが、その森林再生を妨げている要因として考えられている。実際に、南アンダマン諸島の保護区であるマハトマ・ガンジー海洋国立公園では、Ceriops tagalLumnitzera racemosaなど、シカがあまり好まない樹種が多く生息しているという。また、シカはいくつかの島で森林地帯の下草を食べ尽くし、トカゲの個体数を減少させている。

また、2013年に行われた森林調査では、本土に生息するウシガエル(Hoplobatrachus tigerinus)が生息していることが初めてカーティケヤン・ヴァスデヴァン(Karthikeyan Vasudevan)氏により報告され、数年後には主要な島々に拡大していたという。「インドにおいて島嶼は手つかずの自然であるという概念はもはや通用しません。構造化されたローカル・ガバナンスが必要です。島々が直面する問題への対応策を生み出すには、島々が重要視されなければいけません」と同氏は言う。

アンダマン諸島の離島ナルコンダムでは外来ネズミ(Rattus cf. tiomanicus)が食物網に与える影響が調査され、ネズミが多くのヤシ種子を食べることで、新しい木が育つのを妨げていることがわかった。

研究者によると侵略が進むにつれて管理にかかるコストは急上昇するという。一方で外来種の駆除については冷静に対応すべきだ。生態系がシフトする可能性があることから問題が顕在化している種だけではなく、類似の種が及ぼす影響についても理解する必要がある。駆除コストと利益を天秤にかけ進めるべきである。そうした影響を調査するためにも今後は様々な島から情報を集めることが重要だ。

科学誌nature indiaが2024年12月16日に伝えた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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