2025年01月
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折り紙の科学、構造的挙動の解析方法を研究 インド工科大学マドラス校

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は、研究者らが日本の紙芸術である折り紙の構造的挙動を理解・予測するための解析方法について研究していることを紹介した。

工学分野で折り紙は人気のテーマである。平らな紙を複雑な立体構造に変形させることができ、展開可能な構造物やメタマテリアルの開発に有効である。実際に、「ミウラ折り」と呼ばれる折り紙パターンは宇宙開発、医療現場など幅広い分野で利用されている。

折り紙構造は、折り目によって折りたたむことができ、構造力学を理解するための実験が非常に複雑であるため、モデリングとシミュレーションが重要な役割を果たしている。一般的にはバー&ヒンジフレームワーク(BHF)と呼ばれるトラス要素と回転バネの組み合わせによってモデル化されるが、慣性効果の正確なモデリングを反映しておらず、適用はごく一部に限られる。今回、IIT-M土木工学科のアナンダループ・ラヒリ(Anandaroop Lahiri)博士と、ファニスリー・プラディープ・プラタパ(Phanisri Pradeep Pratapa)教授は対象物の振動特性を把握する解析手法であるモーダル解析を用いて、折り紙の固有振動数のモードごとの比較を通して、BHFモデルの精度を調査した。

BHFモデルでは、パネルの質量は一般的にいくつかの点質量に一括して再現され、パネルの曲げ剛性は曲げ軸に沿って設けられた折り目に割り当てられた回転バネによって反映される。本研究では、パネルの曲げ剛性を推定する技術だけでなく、質量の一括スキームを組み合わせることを提案し、これにより、サイズやアスペクト比の異なる1次元および2次元の構造体のさまざまな折り曲げ状態について、最大誤差を60~80%低減することができた。

カナダのトレント大学航空宇宙構造学科のディエゴ・ミッセローニ(Diego Misseroni)教授は「本論文は、折り紙をベースとした展開可能な構造物の動的挙動を理解・予測するための画期的なフレームワークを紹介し、基礎研究と技術応用をつなぐものです」と本研究の意義を強調した。

(2024年12月17日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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