インド工科大学マドラス校(IIT-M)は1月6日、学術研究や産業界の要求に応えることができるアジア最大の水理実験施設を開設したと発表した。
この実験施設は、タイユールにあるIIT-Mディスカバリーサテライトキャンパスに置かれ、インドの港湾や水路、沿岸工学における困難な問題に取り組むことができる最新鋭の施設で、複雑な波や流れの相互作用を扱うことができる多方向浅瀬水槽となっている。この実験施設は、国立港湾・水路・海岸技術センター(NTCPWC)により設立された。
この研究施設は、基礎的な研究だけでなく、三次元の波が構造物に与える影響が重要となるさまざまな応用プロジェクトにも利用可能だ。例えば、港湾、沿岸、沖合、内陸水路、浅瀬の操船関連などのプロジェクトにおいて、土砂輸送-移動床モデリング、装甲ユニットの安定性、水理・流体力学的性能、波浪衝撃荷重、気候変動による関連設計側面の決定などを確認することができる。
IIT-M海洋工学科のK. ムラーリ(K. Murali)教授は、インドにおける浅瀬流域研究施設の重要性を強調し、「この施設により、IIT-Mは、学術研究や産業開発のための大規模な水理実験施設を有する研究機関の1つとして、国際舞台に位置付けられます。私たちは実験室で波を発生させるために、他国の技術に頼る必要はもうありません」と述べた。インド沿岸で新しい港の開発が進む中、インド国内で開発し建設されたこの施設は、研究計画の立案に役立ち、重要なツールとなることが期待されている。
IIT-Mは、こうした大規模な施設を建設することで得た知識をもとに、国立工科大学(NIT)やインド工科大学(IIT)、研究機関など他の機関が、教育や研究目的で最先端の研究センターを設立できるよう支援していく予定だ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部