インド工科大学マドラス校(IIT-M)は1月22日、IIT-Mの研究者らが、人類の長期的な宇宙滞在と宇宙における商業機会の拡大を目指して、研究に取り組んでいると発表した。
この研究は、宇宙のための宇宙における製造を通じて、宇宙旅行に利益をもたらすだけでなく、地球上の人々にも恩恵をもたらすことが期待されている。IIT-Mは、この研究の施設として、世界で4番目に大きな落下塔を持ち、微小重力落下塔を運用している。この施設は2017年、IIT-M航空宇宙工学部のアミット・クマール(Amit Kumar)教授が、宇宙空間のような微小重力状態もしくは人工的な無重力状態での実験を行うために設置した。
月や火星に人類が居住するための技術開発に向けて、ExTeM(地球外製造)研究グループは、インフラの構築や3Dプリンティングツール、持続可能な宇宙探査に必要な材料の抽出などの課題に取り組む。この研究グループは、月や火星の表土など、宇宙空間に存在する資源を活用することで、地球をベースとしたサプライチェーンの依存を減らし、宇宙船の運用コストや搭載貨物の重量の要件を大幅に削減することを目指している。
ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は2025年1月19日、国民対話を意味するMann Ki Baatのラジオ講話の中でExTeMについて触れ、「この研究は、水を使わないコンクリート建築のような画期的な方法も開発しています。わが国は宇宙技術の新たなベンチマークを設定しています。私は国民を代表して、インドの科学者、イノベーター、若い起業家たちを心から祝福します」と語った。
IIT-MのV・カマコティ(V.Kamakoti)学長は、「私たちは、探査研究や気候モデリング、環境研究などで重要になりつつある宇宙ステーションに注目しています。多くの人々が宇宙での定住に注目しています。こうした探査研究の1つが、月や火星に人間を定住させることです。宇宙のための宇宙における製造の重要な課題の1つは、人間の居住地のための技術を構築することです」と述べ、インドの宇宙への野望を推進する研究の重要性を強調した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部