2025年03月
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飢餓状態の爬虫類はリスクの高い食料を選択することが判明 インド

インド理科大学院(IISc)は2月27日、IIScの生態科学センター(CES)の研究チームにより、飢餓状態の爬虫類がより大きな報酬を得るために、リスクの高い食料を選択することを明らかにしたことを発表した。研究成果は学術誌Biology Lettersに掲載された。

本研究はCESのマリア・タカー(Maria Thaker)教授らによって行われた。動物の採餌行動を説明する「リスク敏感採餌仮説」によれば、動物は空腹時により大きなリスクを冒し、変動する餌を選ぶ傾向がある。これまで鳥類や哺乳類でこの行動が確認されていたが、爬虫類では未検証だった。今回の研究では、ベンガルール周辺に生息するロックアガマ(Psammophilus dorsalis)を対象に実験を行い、この仮説を検証した。

研究チームは、トカゲを48時間に渡り十分な栄養を与えたグループと飢餓状態のグループに分け、それぞれに一定の報酬(ミールワーム2匹)と変動報酬(ミールワーム0匹または4匹)の選択肢を与えた。その結果、十分な栄養を与えられていたトカゲは2匹のミールワームを選んだのに対し、飢餓状態のトカゲは4匹の報酬を得られる可能性のあるリスクの高い選択肢を頻繁に選んだ。さらに、両グループとも試験終了時にはほぼ同じ量の食料を獲得しており、それぞれの異なる戦略が成功していたことを示している。

この研究は、熱帯のトカゲが食料資源の不確実性に基づいて採餌行動を調整することについて新たな知見を与えるものだ。一年中温暖でエネルギー要求量の高い熱帯環境に生息する爬虫類にとって、この柔軟なアプローチは、予測不可能な状況下で繁栄するための鍵となる可能性がある。タカー教授は「私たちは、人間には環境を見極め必要なときに計算されたリスクを取る優れた能力があると考えています。それはトカゲも同じで、ロックアガマがさまざまな選択肢を記憶し、生存を確保するために適切な選択ができるという事実は驚くべきことです」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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