2025年04月
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排ガスの煤から高性能触媒開発、炭素排出削減と水素燃料製造に有効 インド

インド科学産業研究機構(CSIR)傘下の先端材料・工程研究所は、自動車の排気ガスに含まれる炭素ナノ粒子から、炭素排出の削減と水素燃料の製造の両面で利用可能な高性能電気触媒を開発したと発表した。科学誌nature indiaが3月27日に伝えた。研究成果は学術誌carbon neutralizationに掲載された。

シブ・シン(Shiv Singh)氏率いる研究チームは、自動車の排気ガス中に含まれる微細な炭素ナノ粒子にホウ素、窒素、酸素、硫黄を添加し、スポンジ状のフラクタル構造を持つ電気触媒を開発した。この触媒にはさまざまな活性部位があり、酸素還元反応(ORR)や、酸素発生反応(OER)、水素発生反応(HER)といった、燃料電池やエネルギー貯蔵システム、水素製造における重要な電気化学反応を効率よく促進する。実験とモデリングにより、表面化学の改変が吸着性と反応性を高めることがわかり、既存の高価な白金系触媒への依存度を減らすことが期待される。研究者らは、この方法が、再生可能エネルギーの利用を加速させるだけでなく、自動車排ガス中の炭素を有効活用するという点で大気汚染の軽減にも寄与する点を強調している。

この触媒は、電気自動車に搭載される燃料電池への応用が期待されているほか、風力や太陽光発電によって生成される電力を水素として安定的に貯蔵するエネルギー変換・貯蔵システムにも活用可能であるという。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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