インド工科大学マドラス校(IIT-M)は4月15日、冶金・材料工学科の研究チームが、小規模な設置にも適応可能な経済的ティルトロール二軸ヘリオスタットを開発・実証したことを発表した。
ヘリオスタットは、太陽光を一定の方向に反射させる装置で、集光型太陽熱(CST)システムの中核をなす。システムコストの約半分を占めるとされるヘリオスタットの制御には、太陽追尾用の高価な商用コントローラーが必要であり、特に小規模設置にとっては導入障壁となっていた。
今回、IIT-Mのアディティヤン・ティー・アール(Adithyan T.R.)氏、スリラム・K・カルパティ(Sreeram K. Kalpathy)教授、ティジュ・トーマス(Tiju Thomas)教授は、ティルト機構とロール機構を組み合わせた独立型二軸追尾システムを設計・構築した。このモデルは市販の追尾システムを用いず、強力なマイクロコントローラーも不要で、家庭や研究機関などの小規模・狭小スペースへの導入に適している。
実験は同校の屋上にて行われ、緯度13.00°N・経度80.22°Eにおいて、ミラーが正確に太陽光をターゲット方向に反射することが確認された。装置は中央タワーから3mの距離に設置され、ティルト軸とロール軸にはそれぞれリニアドライブを使用して鏡面の向きを制御している。今後の研究では、誘導モーターなどを組み込んだ高効率駆動装置の開発や、風荷重下での安定性向上が検討されている。
この研究に対して、国際的な持続可能技術の実践者であり、ソーラークッカー・インターナショナル(SCI)のアジャイ・チャンダク (Dr. Ajay Chandak) 博士は、「小型ヘリオスタットの太陽熱用途への転用は新たな可能性であり、設計の簡素化やジャイロセンサーによる精度補正など今後の工夫にも期待できます」と評価した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部