2025年06月
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ペルム紀の山火事痕跡調査、長期的炭素貯蔵に洞察を与える インド

インド科学技術省(MoST)は5月6日、インド科学技術庁(DST)の自治組織であるビルバル・サーニー古生物学研究所(BSIP)の研究者らが、約2億5000万年前のペルム紀の風景を襲った古代の山火事(古火事)の痕跡を調査したと発表した。研究成果は学術誌ACS Omegaに掲載された。

ペルム紀におけるゴダバリ盆地の山火事を解明する統合的アプローチを示す図
(出典:PIB)

インド半島の中心部に位置するゴダバリ盆地の深い岩層の下に、地表面が焼け焦げて炭化した痕跡が残されている。研究者らは、顕微鏡分析や最新の化学分析を駆使し、その痕跡の調査結果を明らかにした。この報告によると、後期シルル紀(4億1920万年前~4億4380万年前まで)から第四紀(258万年前)まで、その当時の山火事が景観に痕跡を残し、植生や気候、さらには石炭の形成に影響を与えていた。

研究者らは以前から、ゴンドワナ全域のペルム紀の夾炭層で巨視的な木炭を観察しており、広範囲にわたる山火事があったことを示唆していた。インドのラニガンジ炭田は、木炭の化石が確認された最初の場所の1つであり、古泥沼系と季節的な干ばつによる火災との関連を明らかにした。

研究者らは、ゴダバリ盆地の奥深くから採取した頁岩サンプル(有機物を多く含む細粒の堆積岩)を分析し、詳しい調査を行った。さまざまな起源のパリノモルフの組成から堆積環境を推定するパリノファシス分析を用いて、岩石中に保存されている有機物の粒子を分類した。

これらの粒子には、花粉や植物の破片のような半透明の有機物(TrOM)、火災の明確な証拠である古火事の誘発による木炭(PAL-CH)、燃焼後に輸送されたか変質した可能性のある酸化木炭(OX-CH)などが含まれていた。

BSIPのネハ・アガルワル(Neha Aggarwal)博士率いる研究チームは、ラマン分光法、Rock-Eval熱分解法、フーリエ変換赤外分光光度計などの分析機器を駆使して、古代の岩石に刻まれた山火事の痕跡を解読した。

この研究は、in situ(現場由来)とex situ(現場外からの輸送)の木炭の明確な区別をしており、古火事の研究における大きな飛躍をもたらした。山火事の発生が有機物にどのような変化をもたらすかを理解することは、地殻の長期的な炭素貯蔵に関する洞察を与える。これは現代の気候変動対策において重要な戦略である炭素隔離に大きな意味を持つものである。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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