2025年06月
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インド、東部の州でガリ侵食のリスクが高いことが判明 英国研究チーム

英国マンチェスター大学のアニンドヤ・マージ(Anindya Majhi)氏率いる研究チームは、インドでガリ浸食の深刻度に関する初めての全国調査を行い、浸食の危機が東部の州でより深刻であることを明らかにした。科学誌nature indiaが5月14日に伝えた。研究成果は学術誌Scientific Reportsに掲載された。

ガリ浸食は水の流出により、狭い溝ができ時間の経過とともに深くなり拡大する。この研究は、歯止めの効かないガリ侵食が農地や農村の景観を急速に劣化させていることを強調した。同氏は、「最も被害が大きかった地域は、伝統的な荒野ではなく、西ベンガル州、オリッサ州、ジャールカンド州などの東部の州にあることに驚きました」と語った。

ガリ侵食は、破壊的な土地劣化の形態であり、森林伐採、不十分な土地利用、気候変動によって引き起こされる不規則な降雨パターンにより悪化する。研究者らは、直ちに介入しなければ、溝が拡大し、農地を飲み込み、農村コミュニティが追い出されると警告する。

この影響を受ける地域の農家にとって、ガリ浸食は、経済的、社会的大惨事であり、環境問題以上に深刻である。ガリ浸食はモンスーンのたびに深刻化し、多くの場合、農村コミュニティは家や生計手段を放棄せざるを得なくなる。同氏は、影響を受けた農家との交流により、浸食が毎年数十メートルずつ成長し、流出水を迂回させても浸食を遅らせる効果がないことが明らかになったと述べた。

研究者らは、高解像度の衛星画像と地理空間モデリングを使用して、侵食ホットスポットを詳細にマッピングした。この研究は、データ収集に対する先駆的なアプローチでも注目に値する。

インド政府は、2030年までに土地の劣化を食い止めるためのいくつかの計画を持っている。コルカタにあるジャワハルラール・ネルー大学の地理学者であるパドミニ・パニ(Padmini Pani)教授は、これらの取り組みはガリ侵食に明確に対処しなければならないと述べた。

マージ氏らの研究チームは、最も脆弱な77地区の政府の即時介入を求めており、政策立案者に対して、ガリ浸食の制御を既存の土地管理の枠組みに統合するよう要望している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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