2025年07月
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S3V社による国産初の血栓回収器具の開発・製造を支援 インド

インド科学技術省(MoST)は5月30日、科学技術庁(DST)傘下の技術開発委員会(TDB)がマイスールにあるS3V Vascular Technologies Limited(S3V社)の「急性虚血性脳卒中治療のための機械的血栓回収キットの統合製造」と題するプロジェクトに財政支援を拡大すると発表した。

(出典:PIB)

このプロジェクトは、チェンナイにあるメディカルデバイスパークに最先端の上流統合製造施設を開設し、大血管閉塞による急性虚血性脳卒中を患う患者に用いる高度な機械的血栓回収器具を開発・製造することを想定している。血栓回収療法は、従来の血栓溶解療法と比較して、転帰が大幅に改善され、長期的な麻痺や障害のリスクが軽減される。

S3V社は、マイクロカテーテルや吸引カテーテル、ガイドワイヤー、ステントリトリーバーシステムを含む神経介入用医療器具を上流の統合施設で独自に設計・製造するインド初の企業になることを目指している。同社は、血栓回収ヘッドの設計や編み込みコイル吸引カテーテルの構造、その他いくつかの先進的プロセス技術に関する特許申請を予定している。

この取り組みは、高価な輸入器具を高品質な国産代替品に置き換えることで、インドにおける脳卒中治療の手頃な価格とアクセス性に寄与する。同社は、これらの器具をアユシュマン・バーラト(Ayushman Bharat)などの政府償還プログラムに組み込むことで、推定20億米ドルの国内市場を開拓することを目指している。

TDBのラジェシュ・クマール・パタク(Rajesh Kumar Pathak) 事務局長は、「TDBは、インド初の包括的な神経介入用医療器具の製造エコシステムを構築するというS3V社のビジョンをサポートできることを誇りに思います。このプロジェクトは、インドで手頃な価格の高度な医療技術分野における世界的なハブを目指すTDBの継続的な取り組みを反映しています。これらの器具をアユシュマン・バーラトに統合するという同社の注力は、包括的な医療アクセスを目指す国家目標とも一致しています」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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