インド工科大学マドラス校(IIT-M)は6月3日、IIT-M機械工学科の研究者らが、効率的な故障検出を行うギアボックスの健全性評価のためのフレームワークを開発したと発表した。研究成果は科学誌Computers in Industryに掲載された。
産業機械の健全性モニタリングは、センサーの読み取り値を分析することによって行われる。このセンサーを理想的な取り付けポイントに取り付けることが不可欠である。しかしながら、実際には空間的または運用上の制約により、センサーの理想的な取り付けは難しい。センサーの取り付けポイントにアクセスできない場合、健全性モニタリングの結果の信頼性が低下する可能性がある。この研究では、理想的ではない複数の場所のセンサーから取得したデータを融合することで、信頼性の高い健全性モニタリングの結果を生成するフレームワークを開発した。
研究者らが所属するIIT-M機械工学科のエンジニアリング資産管理グループは、産業コンサルタントを行っている。この研究は、彼らの現場レベルの経験に基づくものである。研究者らは、ギアボックスのオンラインモニタリングシステムの健全性評価能力を高めるため、マルチセンサーフレームワーク(MSF)におけるセンサー融合法と呼ばれる手法を採用した。
このMSFは、強化学習(RL)エージェントによって支援され、エージェントに特定のタスクを実行するように訓練される。訓練は、運用シナリオを繰り返し経験することで促進される。エージェントは正しい決定を下すと報酬を受け、間違った決定を下すと罰則を受ける。訓練の目標は、エージェントが時間経過とともに報酬を増加させることである。RLエージェントは、適応フィルタリング手法(AFT)と呼ばれる信号処理アプローチに最適なパラメータを選択するように訓練される。
研究者らが開発したセンサー融合法は、単段平歯車の故障の重大性を検出することで実証された。既存の融合法と比較して、開発された手法は信頼性が高く迅速な結果を生み出した。今回提案された方法は、ギアボックスの瞬時の健全性評価に有用であることが確認された。この研究は、ベアリングやポンプなどの機械要素に対しても、拡張し適用することが可能である。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部