2025年07月
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鉄道サービスにAIベースの多言語対応機能を導入 インド

インド電子・情報技術省は6月9日、言語人工知能(AI)基盤「BHASHINI(バシャニ)」の担当部局と鉄道情報システムセンター(CRIS)が、インド鉄道向け多言語AIソリューションの開発と導入に向けた了解覚書(MoU)を締結したと発表した。

(出典:PIB)

今回のMoUは、主要な鉄道関連のデジタルサービスにおいて、22のインド言語に対応したユーザー体験の向上を図る取り組みである。ニューデリーで行われた調印式には、バシャニの担当部局長であるアミタブ・ナグ(Amitabh Nag)氏と、CRISのマネージングディレクターであるG.V.L.サティア・クマール(G.V.L. Satya Kumar)氏が出席した。

連携の柱は、バシャニが有する自動音声認識(ASR)、テキスト翻訳、音声合成(TTS)、光学文字認識(OCR)などの言語技術を、全国鉄道照会システム(NTES)や苦情受付サービスRailMadadといったCRIS運用の既存プラットフォームに統合することにある。これにより、市民は言語の違いにかかわらず、重要な鉄道サービスへアクセス可能となる。

ナグ氏は「この連携により、毎日数百万人が利用する鉄道サービスが、AIの力でより包括的かつ公平になります。私たちは、言語が公共サービス利用の障壁にならない未来を目指しています」と語った。

クマール氏も「CRISはこのパートナーシップを通じて、デジタル基盤全体にAIベースの多言語対応機能を導入し、利用者本位のサービス改革を推進します」と述べた。

このパートナーシップでは、多言語チャットボットや音声アシスタントの共同開発、窓口業務向け多言語対応インターフェースの構築、クラウドおよびオンプレミス環境によるスケーラビリティ強化、ウェブサイト、モバイルアプリ、キオスク、コールセンターへの展開、音声によるリアルタイム対応の実現などが重点的に扱われる。

今後数カ月以内に技術ワークショップやパイロット導入が始まり、公共デジタルインフラにおけるインドの国際的な技術主導力を強化することが期待されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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