インド科学技術省(MoST)は6月15日、研究機関の調達手続きと財務上限を大幅に見直す政策改革を発表し、「イノベーションのしやすさ」と「科学研究のしやすさ」の向上を図ると明らかにした。
(出典:PIB)
この政策改革は、ジテンドラ・シン(Jitendra Singh) 科学技術相が発表した。発表は首都ニューデリーの国立メディアセンターで行われ、全国13のインド工科大学(IIT)や複数の研究機関の意見を反映している。
今回の改革では、研究機関の長や大学の副学長に対し、政府電子マーケットプレイス(GeM)を通さずに特殊な研究機器や材料を調達できる非GeM調達が認められた。従来は、GeMに掲載がない場合でもGeM調達が義務付けられており、柔軟性に欠けるとの指摘があった。
さらに、一般財務規定(GFR)に基づく調達上限も改訂された。直接購入の上限は10万ルピーから20万ルピーに、さらに部門委員会による調達は25万ルピーまで引き上げられた。公募入札や限定入札の上限も50万ルピーから1000万ルピーに拡大され、研究機関の長には20億ルピーまでの国際入札の承認権限が与えられた。
同相は「これはこの国の科学リーダーを信頼する政策です。私たちは皆さんを信じ、価値を認め、支援します」と語り、改革の意義を強調した。また、これらの措置は、研究者らがSNS上で繰り返し指摘してきたボトルネックを解消することを目的としており、若手研究者やスタートアップの活動活性化にもつながるとした。
同相は、宇宙や原子力分野での自由化がすでに成果を上げていることにも言及し、「今回の改革はR&Dエコシステム全体への波及を目指す」と述べた。また、国家教育政策2020との整合性についても触れ、「学習経路の選択を可能にするには、研究環境もそれに応じて柔軟であるべきです」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部