インド統計大学(ISI)は、古代の火山岩脈の一部から地中のマグマ圧力を推定する新たな数理モデルを開発した。科学誌nature indiaが6月13日に伝えた。研究成果は学術誌Journal of Structural Geologyに掲載された。
この手法は、ISIのトリディブ・クマール・モンダル(Tridib Kumar Mondal)氏が率いる研究チームによって開発された。部分的に露出した岩脈(ダイク)の厚さと長さに基づいて、形成時の元の寸法を算出し、地下のマグマの圧力と深度を推定できるという。
ダイクはかつてマグマが地表へと流れ込んだ通路であり、現在は垂直に固化した岩として存在する。しかし、多くのダイクは風化や埋没によって全体像を把握することが難しく、従来の測定には限界があった。今回のモデルは、視認可能な一部のデータからでも主要な地質学的パラメータを導き出せる点が特徴である。
研究チームは、西ベンガル州のベロ丘陵とカルナタカ州にある23地点のデータを用いて手法を検証した。こうして得られた推定値は、地域の過去の火山活動の再構築や将来的な噴火リスクの評価に活用できると期待される。
モンダル氏は「この手法は、地質情報が限られた地域でも火山活動の履歴をたどる手がかりとなり、今後の防災計画にも貢献できると考えています」と語った。研究チームは、この手法が地質学的露出の乏しい地域における地下火山系の理解に貢献し、将来的には噴火の早期予測にも応用できると期待している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部