2025年07月
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非シリコントランジスタによる新型プロセッサを開発 インド

インドのジャダブプル大学を含む国際研究チームは、原子レベルの薄さをもつ非シリコン素材のトランジスタを1つのチップに集積した、新しい種類の低消費電力コンピュータープロセッサを開発したことを発表した。科学誌nature indiaが7月2日に伝えた。研究成果は学術誌Natureに掲載された。

数十年にわたりシリコントランジスタがエレクトロニクスを支配してきたが、シリコンは10nmより小さくなると性能が低下するという課題があった。今回開発された非シリコントランジスタは、極薄で積層可能な構造を持ち、計算処理の柔軟性と省電力性に優れている。

研究チームは、二硫化モリブデンを使ってn型トランジスタ1000個を、二セレン化タングステンでp型トランジスタ1000個を作製した。これらを1つのチップに統合し、1命令セットコンピューターを構築した。この方式では、すべての計算を単一の命令で実行する仕組みとなっており、従来の最高級シリコンプロセッサに匹敵する性能を、超低消費電力で実現している。

プロセッサの製造には有機金属化学気相成長法を採用し、2インチのウエハー上に均一なトランジスタ膜を作成し、大規模生産も可能であることが示された。本研究はエレクトロニクスにおけるポストシリコン時代の幕開けを告げる可能性を示すものである。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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