2025年08月
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遺伝子改変で真菌に強いパイナップルを開発 インド

インド科学技術省 (MoST)は7月22日、科学技術庁(DST)傘下の独立研究機関であるボーズ国立基礎科学研究所のチームが、フザリウム菌に対する高い耐性を持つ遺伝子組換えパイナップルを開発したと発表した。研究成果は学術誌In Vitro Cellular & Developmental Biology-Plantsに掲載された。

フザリウム症はフザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)という真菌によって引き起こされ、果実の腐敗や葉の黒変など甚大な被害を及ぼす。

図1: パイナップル(Ananas comosus L. Merr.)の過剰発現形質転換のワークフロー(アグロバクテリウムを用いた過剰発現コンストラクトの導入):
(a) エクスプラントへのアグロバクテリウムの浸潤
(b) 推定形質転換体の選抜
(c) 形質転換植物体の検証

同研究所のガウラブ・ガンゴパディアイ(Gaurab Gangopadhyay)教授とソウミリ・パル(Soumili Pal)博士は、体細胞胚形成受容体キナーゼ(SERK)の一種であるAcSERK3遺伝子に着目し、これを過剰発現させた遺伝子組換えパイナップルを作出した。AcSERK3は本来、植物の発生やストレス耐性に関与する遺伝子であり、本研究はこの遺伝子を活性化することで、パイナップルの病害耐性を飛躍的に高めることを示した。

図2: AcSERK3を過剰発現し、フザリウム耐性が強化された遺伝子組換えパイナップル植物の移植準備が完了
(出典:いずれもPIB)

実験では、AcSERK3を過剰発現させた系統が、野生種に比べてストレス応答に関連する代謝物とスカベンジャー酵素の活性が高まり、フザリウム感染に対する抵抗性が顕著に強化された。対照群が萎れる中、形質転換系統は青々と生育し、耐性の有効性が明らかになった。

長期圃場試験により、本技術を応用した多菌耐性パイナップル品種の開発が期待されている。ガンゴパディアイ教授は「この遺伝子改変技術により、農家はフザリウムなど複数の真菌に耐性を持つ品種を、スリップやサッカーと呼ばれる新芽を通じて安定的に増殖させることが可能になるでしょう」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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