2025年09月
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キノコを用いて農業廃棄物から菌糸体ベースの包装材を開発 インド

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は7月31日、農業・紙廃棄物を原料とした菌糸体ベースのバイオ複合材料を開発し、従来のプラスチック発泡スチロール(EPS)や発泡ポリスチレン(EPE)に代わる持続可能な包装材としての可能性を実証したと発表した。研究成果は学術誌Bioresource Technology Reportsに掲載された。

本研究では、マンネンタケ(Ganoderma lucidum)とヒラタケ(Pleurotus ostreatus)を段ボール、おがくず、紙、ココピス、干し草など5種のリグノセルロース基質で培養し、菌糸の成長密度、微細構造、圧縮強度、吸水性、生分解性を体系的に比較。特に段ボール上で培養したマンネンタケはEPSを大幅に上回る圧縮強度を示した。これらの複合材料は耐水性と生分解性を備え、包装材としての機械的特性を確保しながら環境負荷を低減できることが実験室レベルで確認された。

IIT-Mの主任研究員であるラクシュミナス・クンダナティ(Lakshminath Kundanati)助教授は「インドでは毎年3億5千万トン以上の農業廃棄物が発生し、その多くが焼却や放置で大気汚染や資源浪費を招いている。本研究は廃棄物を高付加価値資源に変え、プラスチック汚染と廃棄物処理の両課題に同時に取り組むものです」と述べた。チームは基材組成の最適化や天然コーティングによる保存期間延長など実用化に向けた改良を計画している。

研究の商業化を目的に、同助教授は共同創業者としてネイチャーワークス・テクノロジーズ(NatureWrks Technologies)社を設立し、産業界とのライセンス契約や技術移転を視野に入れている。今回開発した技術は、EPSやEPEの代替による埋立負担軽減、マイクロプラスチック発生防止、温室効果ガス排出削減に加え、農業副産物需要の創出による農村経済振興も期待される。この技術は断熱材・防音材など他分野への応用も可能としており、循環型経済に沿った低コストかつ拡張性の高い持続可能な包装ソリューションとして位置付けられている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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