2025年09月
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小型衛星向け電源変換技術を開発 インド工科大学マドラス校

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は8月29日、小型衛星に搭載されるパルスプラズマスラスタ(PPT)に適した高効率電源変換技術を開発したと発表した。

近年、小型衛星はリモートセンシング、通信、科学研究などで需要が急増している。低コスト、柔軟性、迅速な開発が利点であり、姿勢制御や軌道維持に適した推進方式として電気推進が注目される。その中でもPPTは、構造が簡素で低消費電力かつ信頼性が高く、小型宇宙機に適している。

PPTはテフロンなどの固体推進剤をアーク放電でプラズマ化し、ローレンツ力で加速して推力を得る。短い電力バーストで動作するため、平均的な電力消費を抑えつつ高い効率を実現できる。一方で課題は、推進系に電力を供給する「電力処理ブロック」をいかに小型化し高効率化するかにある。

IIT-M電気工学科のチナラ・クルディップ(Chinara Kuldip)氏とラクシュミ・ナラサンマ・N(Lakshmi Narasamma N)博士は、共振フライバック方式を採用した新しい電源回路を提案した。この方式は部品点数を削減し、ガルバニック絶縁、高いパルス繰り返し率(PRR)、短いパルス幅(FWHM)を実現する。実験では-2.5kVの出力電圧でPRRを1kHz、FWHMを20µsに制御し、90%以上の効率を確認した。

研究では変圧器の漏れインダクタンスや巻線容量といった寄生成分を考慮したエネルギーモデルを構築し、予測制御アルゴリズムによって設計を簡素化しつつ性能を向上させた。この成果は衛星推進の効率化に資するだけでなく、オゾン生成を利用した廃水処理や小型浄水システムの開発など地上応用にも広がる可能性がある。

米国コロラド大学のドラガン・マクシモビッチ(Dragan Maksimovic)特別教授は「寄生成分による損失を定量的に扱い、設計と制御を簡素化した点が革新的です。実験結果も説得力があり、小型でエネルギー効率の高い浄水システムの発展に大きく貢献するでしょう」と評価した。

本成果は宇宙分野における低コスト化とグリーンエネルギー利用の拡大に向けた重要な一歩となる。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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