表面流出と残留堆積物-メチル水銀が河川に蓄積する2つの原因特定 韓国・光州科学技術院

AsianScientist - メチル水銀汚染の主な原因は、表面流出と貯水池の沈泥(ちんでい)であることが韓国の研究で明らかになった。

韓国の光州科学技術院 (GIST) の研究者チームは最近の調査から、同国の河川にメチル水銀が蓄積する2つの主な原因を特定した。表面流出と残留堆積物である。チームはまた、メチル水銀の形態と蓄積のパターンを理解することが、健全な生態系を維持するために重要であると指摘している。この研究は、学術誌 Chemosphere で発表された。

水銀は火山や地熱温泉などといった自然に起源を持つことが多いが、石炭燃焼、金採掘、塩素アルカリ製造プラントなどの人為的な活動により、環境に放出される量は大幅に増加する。世界で最も多い水銀中毒の記録を持つのは北米だが、アジアはその次に多い。

「私はこの研究を進めるにあたり、女性科学者としての強い責任を感じました」。GISTの研究者で研究の筆頭著者であるウンジ・ジュン (Eunji Jung) 博士は胎児に対するメチル水銀の危険性について知った時、この問題をさらに深く調べようと決心した。

ジュン博士と彼女のチームは、2016年から2020年の間に韓国の5つの人工湖の水銀濃度を調査した。GISTの環境科学者であり、本研究の上級著者であるスンヒー・ハン (Seunghee Han) 氏は「私たちは水、堆積物、および一般的な種類の魚に見られる水銀とメチル水銀の総濃度を調べました」と説明する。ハン氏らは、全国の水質監視ネットワークのデータを使用して水が貯水池にとどまる時間と貯水池の水位の変化を調べたところ、これらが貯水池での水銀の移動と濃度に影響を与えることを突き止めた。

分析から、2つの重要な結論が明らかになった。1つは、集水域とそこからの水の流出は、貯水池にメチル水銀が蓄積する根本的な原因となる。もう1つは、貯水池に水が長くとどまると、沈泥と堆積物がメチル水銀の蓄積を引き起こす。このような貯水池に生息する魚も、体内の水銀濃度が高かった。汚染された魚介類を食べることが、人体にメチル水銀が蓄積する最大の原因となる。

(2022年07月12日公開)

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