人工知能(AI)は、ファッションデザインにおいて反復的な作業を処理することでデザイナーの創造的なプロセスを支援する。一方で、人間とAIが作り出したファッションデザインを比較した韓国の研究では、人間がコンピューターよりも独創性で優れていることが分かった。(2023年4月18日公開)
ファッション業界は最近、ファッションの「おすすめ」を顧客の好みに合わせ、サプライチェーン管理を最適化し、プロセスを自動化し、持続可能性を改善して廃棄物を削減するために、AIを使用し始めている。 世界的に、ファッション業界のAIは2018年に2億7000万米ドルを生み出し、市場は2027年までに44億米ドルに達すると予想されている。
McKinsey and Company による2019年の調査によると、AIを採用しているほとんどのファッション企業の幹部は、テクノロジーによって事業収益が増加したと報告している。しかし、ファッションデザインにおける創造的思考プロセスは、依然として人間が大きく関与しており、AIを同じように使用した場合の調査はほとんど行われていない。
韓国の釜山大学校のYoon Kyung Lee助教は、人間が AI よりも優れているファッションの分野、そして「人間と AI による効果的な協力によって創造的なデザインができるのか?」について研究したいと考えた。この研究は、Thinking Skills and Creativity に掲載された。
Lee助教はこの研究で、Deep Convolution Generative Adversarial Networks(DC-GAN)とCycle-GANと呼ばれるAIモデルを使用して、斬新なテキスタイルデザインを作成した。次に、それらのデザインを服飾学生が作成したデザインと比較した。比較の結果、GANと人間が作成したデザインはいくつかの部分で類似していたものの、人間によるデザインの方がより多様でユニークであることが明らかになった。この研究では「人間は直感的にアイデアを構築し、デザインに適用する独自の方法を見つけている」ことが明らかになった。
この研究では、AIが反復的な作業を処理することでデザイナーの創造的プロセスを支援し、それによってデザイナーは複雑な創造的プロセスにより多くの時間を割くことができ、プロセス全体が効率化されることも示された。
さらに、AIを統合することで、専門知識がない人にもデザインを作成する機会が開かれる可能性がある。「今までは、服をデザインして展示できるのはプロのファッションデザイナーだけであった。しかし将来的には、誰もが自分の好きな服をデザインし、創造性を発揮できるようになるであろう」とLee助教。
Lee助教は、デザイナーがAIと協力して斬新なデザインを作成できるヒューマン・AIモデルを作った。デザイナーが創造的プロセスとアイデアを他のデザイナーやAIシステムと共有すると、AIシステム全体が相互接続して進化し、デザインが改善される。
人間とAIが共同でデザインする環境では、デザイナーは目的、変数、制限を設定する必要がある。したがって、その作業は視覚要素を超えたものになるはずである。ファッション業界の変化を予測し、「おすすめ」や共同で作成するサービスを提供するために、これを活用できる。