韓国の釜山大学校の科学者らは、新しい遺伝子であるSURF4が白血病の進行を調節することを発見した。(2023年4月26日公開)
釜山大学校の研究者らは、SURF4 と呼ばれる遺伝子が、血液がんの一種である白血病の進行を調節することを発見した。Journal of Oncology誌に掲載された研究によると、2019年だけで 330,000人が白血病により亡くなった。5 歳未満の子供について見ると、白血病はがんに関連する死亡の主な原因であり、世界中の人々やその家族にとって多大な負担となる。
白血病は、大きく2種類に分けられる。数カ月から数年かけて発症する慢性白血病と、急速に進行する急性白血病である。白血病の症状は重篤であるため、白血病を管理し、治療法を解明するための研究は盛んに行われている。たとえば、インターフェロン遺伝子刺激因子 (STING) と呼ばれるアミノ酸たんぱく質は、抗がん反応の調節で重要な役割を果たす。 以前の研究では、シグナル伝達物質や転写活性化因子6 (STAT6) などといった他のたんぱく質が STING と連携して抗がん効果を発揮するとされていた。
しかし、研究者らは、白血病ではsurfeit 4 (SURF4) と呼ばれる遺伝子が、そのたんぱく質 を大量に生成すること発見した。このたんぱく質は STING に結合し、STING が癌の増殖を制御するのを防ぐ。ただ、SURF4がSTINGの機能に影響を与えるメカニズムは分かっていなかった。
それを理解するために、コンバージェンス医療科のドンジュン・リー (Dongjun Lee) 氏と生物医学情報学科のユン・ハク・キム (Yun Hak Kim) 氏はチームを率い、白血病の治療法を開発するのに役立つと考えられる一連の実験を行った。
釜山大学校のチームは、白血病における たんぱく質の役割を見つけるために、白血病患者の SURF4 遺伝子の発現レベルを比較した。チームは、たんぱく質レベルが高い患者ほど生存率が低いことを発見した。しかし、研究用のげっ歯類の腫瘍に SURF4 抑制細胞を注入すると、腫瘍の増殖が止まった。これは、たんぱく質のレベルを抑制することで白血病の進行を調節できることが示すものである。この研究はCancer Communications誌に発表された。
釜山大学校が発表した記事の中で、リー氏は「私たちの研究は、骨髄性白血病における SURF4 遺伝子の役割を明らかにした。他の抗がん剤と併用して SURF4 を減少させれば、骨髄性白血病細胞をもっと効果的に根絶することができまる」と述べている。
この研究結果は、骨髄性白血病やその他の血液がんの診断・治療に関する新しい手法を切り開く。リー氏は「これは40年ぶりのことだ」と話している。