韓国の光州科学技術院(GIST)は5月17日、非フラーレン有機太陽電池の安定性と効率性を向上させる新たな材料を開発したと発表した。論文はオンラインのJournal of Materials Chemistryに掲載された。
資料提供:光州科学技術院(GIST)
フラーレン構造を持たない光活性材料を電子受容体として用いる非フラーレン有機太陽電池は、エネルギー変換効率の高さから次世代の太陽電池として期待されている。しかし、太陽電池を構成する層のうち、電子を選択的に移動させる「カソード界面層」の材料の性質により、安定性に欠けるという問題があった。
GISTの化学部ホン・ソグォン(Hong Sukwon)教授と英インペリアル・カレッジ・ロンドンのキム・ジソン(Kim Ji-Seon)教授の研究チームは、カソード界面層材料として一般に用いられているポリエチレンイミンのアミン基をイミン基に置き換えることで、非フラーレン受容体との化学反応を抑え、太陽電池の安定性を向上させることに成功した。 この新たな材料を使用した太陽電池は、15%を超えるエネルギー変換効率と、100℃を超える環境下で360時間以上にわたり最初の性能を維持する高い安定性を示した。
ホン教授とキム教授は「新たなカソード界面層材料の開発により、非フラーレン有機太陽電池のエネルギー変換効率と安定性を同時に改善できた」と述べている。この技術は今後、曲げられる太陽電池等の高機能な太陽電池の開発に役立つ可能性があるという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部