2021年07月
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ロボットに自在な「手」を提供するオールラウンド・グリッパー開発 韓国の研究者ら

韓国の研究者らが開発したオールラウンド・グリッパーは、形状や素材に関係なく自在に物をつかむことができる。

AsianScientis - スクリュードライバーからイチゴまで、韓国の科学者らが開発した新しいオールラウンド・グリッパー・デバイスに扱えないものはない。この新たな技術の詳細は、IEEE Transactions on Industrial Electronics に掲載された。

ほぼ毎週のように、また一つ新たな技術が世界を席巻していくように思える。2019年11月には、犬が口の中に卵を割らずに咥えられるかどうか飼い主が試す「ゴールデン・リトリーバー・エッグ・チャレンジ」が世界中の視聴者を魅了した。犬は鋭い歯を持つことで知られているが、このチャレンジは、かわいい犬たちが最も繊細な物体も扱えることを証明しようとするものだった。

韓国では、韓国機械研究院 (KIMM)のパク・チャンフン(Park Chanhum)博士が率いるチームが、ロボットを使って独自の#eggchallengeを行った。ゴールデン・リトリーバーとは異なり、ロボットは、不規則な形のものや壊れやすいものを「手」を使って、すなわちグリッパーを使って扱うことにいまだ苦労している。

そこでパク博士らは、ロボットがつかめるようにするため、さまざまな形、大きさ、硬さの物を保持できるデバイスを開発した。オールラウンド・グリッパーと名付けられたこのデバイスの接触面は、豆腐のような質感を持っている。グリッパーを物に押し当てると、その接触面が選択的に変形する。そして、よりしっかり掴むためにその物体の形状に完全にマッチするようになる。

このグリッパーがひとたび、物をつかむと、接触面は硬くなり、安定した状態が保たれる。この機能により、グリッパーは一般的な家庭用器具から柔らかい食品に至るまで、さまざまな種類の物を安全につかんで移動させられる。同チームは、オールラウンド・グリッパーがレモンを絞ってカクテルを作り、チキンスープを料理し、イカを調理するところも実演して見せた。

このようなことは従来のロボット用グリッパーでは不可能であり、同チームのデバイスの有用性が証明されたのである。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が世界中で続く中、オールラウンド・グリッパーは、家事や給仕、さらには製造業などの一般的なサービスを、より衛生的で非接触型で行うための道を開く可能性がある。

「従来型のグリッパーが対応できる対象物には限りがありましたが、我々のオールラウンド・グリッパーは対象物に合わせて表面の形状と硬度を変えることができるため、さまざまな物体に応用できます。オールラウンド・グリッパーが、非接触型サービスの進歩において重要な役割を果たしてくれるよう願っています」

パク博士はこのように期待を込めた。

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