2021年08月
トップ  > 韓国科学技術ニュース> 2021年08月

信頼できるAIの実現に向けた戦略を発表 韓国MSIT

韓国の科学技術情報通信部(MSIT)は、5月13日に開催された「第4次産革命に関する大統領委員会」の22回目の総会で、人間中心の人工知能(AI)の「全ての人にとって信頼できる人工知能の実現に向けた戦略(Strategy to realize artificial intelligence trustworthy for everyone)」を発表した。

AIはあらゆる業界や社会でイノベーションを主導し、第四次産業革命を牽引すると期待されている一方、利用の拡大に伴い、偏見の助長等、社会的に及ぼす予期せぬ影響が懸念されている。

欧州連合(EU)、米国、日本を含む先進諸国では、産業や社会でAIを利用するための最初のステップとして、AIに対する社会的な信頼を確保する必要があると認識しており、これを実現するための政策が進められている。日本政府も2019年 に「人間中心のAI社会原則」を発表している。

こうした世界的な潮流の中で、韓国でも、AIのリーダーとなるために、人間を中心に据えた信頼性確保のための政策が必要との認識から、今回の戦略が策定された。

この戦略は、「全ての人にとって信頼できるAI」というビジョンの下、「技術、システム、倫理」の各領域に対応する以下の3つの戦略と10の行動計画を提示している。これらの計画は2025年までに継続的かつ段階的に実施する予定だという。

1. 信頼できるAIのための環境の創出

  1. (1) AI製品とサービスの開発の各段階における信頼性確保のプロセスの整備
  2. (2) 民間企業によるAIの信頼性確保の支援
  3. (3) 信頼できるAIのためのソーステクノロジーの開発

2. AIの安全な利用のための基盤構築

  1. (1)AI学習データの信頼性向上
  2. (2)高リスクな(人々の安全や基本的人権を脅かす可能性がある)AIの安全性確保への取り組み
  3. (3)AIの影響の評価
  4. (4)AIの信頼性向上に向けた規制の改正

3. 社会全体へのAI倫理の浸透

  1. (1) AI倫理に関する教育プログラムの強化
  2. (2) 各関係者組織に向けた倫理基準の遵守に関するチェックリストの作成、配布
  3. (3) 倫理政策に関する議論の場の運用

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る