2021年09月
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バーチャルスクリーニングで既存薬から新型コロナの治療薬候補を選定 KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は7月8日、高精度のバーチャルスクリーニングと細胞ベースのアッセイ(cell-based assay)を用いて、既存薬の中から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬候補を複数選定したと発表した。これはKAISTと韓国パスツール研究所(Institut Pasteur Korea)の共同研究であり、論文はProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS) に掲載された。

本研究では、ドッキング前に形状の類似性に基づくフィルタリングを行い、ドッキング後に相互作用に基づくフィルタリングを行うことで偽陽性(false positive)を大幅に減らすことに成功した。この手法を利用することで、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)や他のウイルスによる疾患の治療薬をより短期間に開発できる可能性がある。

既存薬の転用(drug repurposing)は抗ウイルス薬を短期間で開発できる方法として注目されているが、転用可能な薬剤を見つけ出すためのバーチャルスクリーニングには、実際のヒット率が低いという問題点があった。

研究チームは今回開発した手法を用いて、米国食品医薬品局(FDA)承認済みまたは臨床試験段階にある6,218種類の薬剤に対してスクリーニングを行い、新型コロナウイルスの治療薬として転用できる可能性がある薬剤を38種類同定した。そのうち7種類の薬剤がベロ細胞でSARS-CoV-2の複製を抑制し、さらにそのうち3種類はヒトの肺細胞(Calu-3)においてもSARS-CoV-2を阻害する働きを示した。ヒット率は18.4%(6,218種類中7種類)と、従来の方法に比べ大幅に改善された。

イ・サンユプ(Lee Sang Yup)特別栄誉教授(Distinguished Professor)はこの研究の最も重要な点について、「新型コロナウイルス治療のための新規化合物を迅速に同定できるプラットフォーム技術を開発したことだ」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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