2021年09月
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尿検体とAIで前立腺がんを正確診断 韓国で開発

侵襲的な診断検査の減少を目指して、研究者らは、尿検体を人工知能(AI)が解析することによって前立腺がんを正確に診断する方法を開発した。

AsianScientist - AI はいまや、家庭の便利ツールとしても産業界の重要ツールとしても知られているが、がんとの闘いにも一役買っている。韓国の科学者らは、AIを使用してわずか20分以内で尿サンプルから前立腺がんを正確に診断する技術を開発した。その結果は科学誌 ACS Nano 誌に掲載された。

前立腺がんは世界で2番目に多く診断され、アジアでは人口の14パーセントが発症する。通常、前立腺がんの正確な診断は不快で侵襲的な生検を受ける必要があり、出血や痛みを伴うことが多くなる。

尿検査もあるが、尿検体に含まれるがん因子は低い傾向があるため、正確な診断というよりもリスクグループを特定する程度にとどまっていた。

そこで、韓国科学技術研究院 (KIST)、およびリー・クヮン・ヒュイ (Lee Kwan Hyi) 博士が率いるソウル峨山病院(Asan Medical Center)の共同チームは、尿検体だけで前立腺がんを診断できる非侵襲的方法を開発した。

この技術は電気信号を利用して、尿に含まれる4つの微量の選択的ながんの因子を同時に測定する超高感度バイオセンサーを使用する。検出された信号の複雑なパターンを分析し、前立腺がんの診断をするにあたり、バイオセンサーはAIに依存する。

信じ難いことに、同チームはAIを利用したバイオセンサーは76の尿検体からほぼ100%の正確度で前立腺がんの診断に成功した。正確度が高く侵襲性の低い検査方法への扉は開かれ、前立腺がんを手始めに、他の部位のがんも検出できるようになるだろう。

「尿を利用すれば、不要な生検等を最小限に抑え、高い正確度でがんを診断できます。さらに、医療費を減少し医療スタッフの疲労も大きく減らすことができます」

研究の共著者であるソウル峨山病院のジェオン・イン・ガブ (Jeong In Gab) 教授はこのように話している。

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