2021年11月
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エクソソームを「ナノ反応器」として利用、人工の細胞小器官作成 韓国IBS

韓国の基礎科学研究院(IBS)の研究者は、ナノ空間である細胞小器官を模倣し、「人工ミトコンドリア」を作成することに成功した。9月13日に発表した。この技術を利用して、人工の細胞小器官から損傷のある組織にアデノシン三リン酸(ATP)等の有用な物質を供給できる可能性がある。研究の成果は学術誌 Nature Catalysis に掲載され、表紙画像にも採用された。

IBSソフトマター・生体研究センター(Center for Soft and Living Matter)の研究者らは、細胞間のシグナル伝達を行う小胞「エクソソーム」を再プログラムすることでこの成果を達成した。

研究過程のイメージ (提供:IBS)

チームはエクソソームの表面を「カテコール」という物質を用いて作り変え、エクソソームの融合を制御できるようにした。次に、このようにして融合したエクソソームにさまざまな反応物質や酵素を付加し、ナノサイズの反応器(nanoreactor)として利用した。この反応器は区切られた空間内で目的の生体触媒反応を生じさせ、従来の試験管では不可能な方法で生体分子を生産することができる。

チームはこれを基に「人工ミトコンドリア」を作成し、ATPを合成することに成功した。これらのエクソソームはスフェロイドの中心部に到達して低酸素環境下でもATPを生産することができた。また、活性酸素種(reactive oxygen species: ROS)の産生を減少させることがわかった。

論文の責任著者であるチョ・ユンキョン(CHO Yoon-Kyoung)氏は、「細胞の代謝活動の調整における、ナノ反応器としてのこれらのエクソソームの可能性が示された」と語る。このような人工細胞小器官の研究が進展すれば、疾患の診断や治療、バイオテクノロジー、医薬品、環境等のさまざまな分野に変革をもたらす可能性がある。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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