2021年11月
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折り紙のようにたたんで立体を作れる量子ドットLEDを開発 韓国IBS

韓国の基礎科学研究院(IBS)の研究チームが、折り紙のようにたたんで立体構造を作れる、超薄型の量子ドット発光ダイオード(Quantum dot light-emitting diode: QLED)を開発した。9月27日に発表した。研究の成果は学術誌 Nature Electronics に掲載された。

折り紙のようにたためる超薄型の量子ドット発光ダイオードのイメージ (写真提供:IBS)

量子ドットを発光体として用いるQLEDは、優れた電界発光性(electroluminescence)を持ち、次世代のディスプレイ技術として期待されている。IBSのナノ粒子研究センターに所属するソウル大学校のキム・デヒョン(Kim Dae-Hyeong)教授とヒョン・テクファン(Hyeon Taeghwan)特別教授が率いる共同研究チームは、2015年に厚さ3マイクロメートルの超薄型QLEDを発表した。

今回、研究チームは「折り紙」から着想を得て、上記の技術をさらに進化させた。平面的なQLEDを折りたたみ可能にするために、QLED表面のエポキシ膜に精巧なレーザーエッチングを施し、下層のQLEDを傷つけることなく「折り線」をつけた。このQLEDは500回折りたたんだ後も安定した発光性を維持し、蝶、飛行機、ピラミッド等の複雑な立体構造を作成できることが示された。

この技術を用いて、ユーザーが形状をカスタマイズでき、視覚情報を立体的に表示する次世代電子機器を実現できる可能性がある。

キム教授は「立体的に折りたためるパッシブ駆動式QLEDを作製することで、より複雑なディスプレイの開発への可能性を示すことができた」と語る。ヒョン特別教授は「いつかディスプレイを備えた電子ペーパーが紙に取って代わる日が来るかもしれない」と期待を込めた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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