韓国の漢陽大学校(Hanyang University)は10月28日、光工学・ナノ電子工学科のキム・ジェキュン(Kim Jae-kyun)教授らが、極高温環境でもエネルギーを生成できる環境発電(energy harvesting)材料を開発したと発表した。研究成果は学術誌 Nano Energy に掲載された。
この材料を用いた摩擦帯電ナノ発電機(Triboelectricity Nanogenerator: TENG)は燃えにくく、安定して発電できるため、ウェアラブルデバイスとして消防分野等で活用できる可能性がある。
TENGは静電ベースの発電機の材料として開発された。静電ベースの発電機は外部の力を必要とせずに発電できる反面、ポリマー系化合物であるため、物理的接触や火等の極限環境に弱いという欠点があった。
こうした欠点を克服するため、キム教授が率いる研究チームは、ポリマーの内部にイオン液体を組み込むことで、高温への耐久性と柔軟性に優れた環境発電材料を開発した。
この新材料は500度を超える高温下でも良好に動作し、外部摩擦が生じても出力を維持できることが示された。
キム教授は、「このTENGは衣服に装着した状態で良好に動作し、手首の脈拍も正確に計測できるため、ウェアラブルデバイスに応用可能であることがわかった。単純な工程で量産が可能で、新しいコーティング技術により材料の損失を最小限に抑えられるため、経済面と環境面でもメリットがある」と新材料の魅力を語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部