韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は11月2日、同校の研究チームが、サボテンのトゲからヒントを得た汗採取パッチを開発したと発表した。研究成果は学術誌 Advanced Materials に掲載された。
汗は生体分析物(bioanalyte)の測定に有効な体液であり、汗センサーは、糖尿病患者の血液採取の負担を減らす手段として、また日常的な健康モニタリング用のウェアラブルデバイスとして活用できると期待されている。しかし、汗の分泌速度の遅さや不規則性が、実用化の障壁となっていた。
POSTECH化学工学科のチョ・キルウォン(Cho Kilwon)教授とソン・ジョンヒョン(Son Jonghyun)博士候補が率いる研究チームは、サボテンのトゲが水分を集める原理を応用し、肌に貼りつけて汗を迅速に採取できるパッチを開発した。
(提供:POSTECH)
サボテンのトゲは、水滴の曲面の内側と外側の圧力差から生じる「ラプラス圧」という現象を利用して、水分をトゲの先端から根本へと移動させる。
今回のパッチでは、サボテンのトゲを模したくさび型のチャネルを使用して、汗のしずくを集める仕組みを作り出した。
このチャネルは、傾斜にかかわらず、別の力を加えることなく汗を自然に採取できることが確認された。さらに、汗のしずくを残さずセンサー領域へと運べるため、従来のマイクロ流体チャネルよりも高速に汗を採取できる。
チョ教授は、「今回開発したパッチは、血糖値測定を含むさまざまな医療用ウェアラブルデバイスに利用できる可能性がある」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部