韓国の基礎科学研究院(IBS)は11月16日、同院の研究チームが、2インチ(約5センチメートル)の二硫化タングステン(WS2)の単結晶単層薄膜を直接成長させることに成功したと発表した。この研究の成果は学術誌 Nature Nanotechnology に掲載された。
(提供:いずれもIBS)
WS2や二硫化モリブデン(MoS2)等の遷移金属ダイカルコゲナイド(transition metal dichalcogenide:TMD)は、次世代半導体技術の基盤となる2次元(2D)半導体材料として注目されている。
今日用いられているシリコンウェーハのようなウェーハスケールの単結晶材料は、超大規模・高性能な半導体回路を構築するための前提条件となる。これまでもTMDの単結晶材料をウェーハスケールに成長させるための努力が重ねられてきたが、大きな成功には至っていなかった。 そこでIBS多次元炭素材料センター(Center for Multidimensional CarbonMaterials)のディン・フェン(Ding Feng)特別教授が率いる研究チームは、北京大学(PKU)等複数の大学の研究者と共同で今回の研究に取り組んだ。
チームはサファイアとWS2を材料とし、「二重の結合により導かれるエピタキシャル成長(dual-coupling epitaxy growth)」という独自のメカニズムを用いて、基板上の小さな単結晶の成長の向きを揃え、大きな単結晶を成長させることに成功した。
ディン教授は今回の研究について「電子機器や光デバイス等のハイエンドな用途に用いる2D半導体の要になる」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部