2021年12月
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動物の脳回路を遠隔操作できる無線エコシステムを開発 KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は11月29日、同大学と米国の研究者が、インターネットを介して多数の動物の脳回路を同時または個別に遠隔操作できる無線エコシステムを開発したと発表した。この研究の成果は11月25日に学術誌 Nature Biomedical Engineering に掲載された。

世界中どこからでも実験動物の脳を遠隔操作できるという

KAISTと米セントルイス・ワシントン大学(Washington University in St. Louis)、米コロラド大学ボルダー校(University of Colorado, Boulder)の研究者からなる学際研究チームが開発したこのシステムは、無線埋め込み型デバイスとIoT(モノのインターネット)インフラで構成される。世界のどこからでも実験動物の脳を操作することを可能にし、脳の基本機能や神経疾患の原因に関する神経科学研究の生産性を大きく向上できると期待されている。

論文の筆頭著者であるラザ・カジ(Raza Qazi)氏は「インターネット接続さえあれば、いつでも、世界中どこからでも、実験の開始や実験結果の保存が行える」 と、この新技術の魅力を語る。

このシステムは、45ドル程度の小型コンピューターを用いてインターネットに接続し、IoT制御モジュールを使用して無線脳プローブ等の実験装置と通信する。使用するハードウェアが最小限で、設置コストが低く、多用途に利用できること等から、世界各地での大規模な導入が可能になる。さらに、遠隔スケジュール機能により、こうした実験を自動化することもできる。

研究者らは、この技術を脳研究のほか、製薬や遠隔医療にも応用できると期待している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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