韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は、新材料のメタサーフェス(metasurface)を用い、可視光と赤外線という2つの波長領域で同時に機能する新しいデータ保護技術を開発したと発表した。2021年11月17日付。この研究成果は学術誌 Advanced Optical Materials に掲載された。
従来のメタサーフェス装置は、可視領域か赤外領域のいずれかの波長領域でのみ機能するものが大部分であった。
(画像提供:POSTECH)
今回、POSTECHのロ・ジュンスク(Rho Junsuk)教授らが率いる研究チームは、異なる材料で構成されるメタ原子(メタサーフェスの基本単位)を用い、両方の波長領域のホログラム画像を効率的に生成することに成功した。主な材料であるシリコンと金が、それぞれ532ナノメートルの可視光と980ナノメートルの赤外光の位相を制御する。
このメタサーフェス装置を用いると、1次情報が可視領域のホログラムに暗号化され、二次情報が赤外領域に保存される。2次情報は赤外線センサーカードで読み取ることができる。
開示が必要な情報を可視光ホログラムとして表示し、隠すべき情報を赤外線ホログラムに保存すれば、1枚のセキュリティカードで2通りに情報を保護することが可能になる。
ロ教授は「従来は2つのメタサーフェスが必要であった技術を1つのメタサーフェスで可能にした。この新技術は先進的な偽造防止技術に応用できる点で重要性が高い」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部