韓国科学技術院の研究チームは、顔認識能力に関わる選択性が全く訓練されていないニューラルネットワークで自発的に生じることを明らかにした。2021年12月21日付の発表。研究成果は12月16日に科学誌 Nature Communications に掲載された。

顔を認識する能力は社会的行動にとって重要な機能の1つであり、ニューロンの調整（tuning）によって生じると考えられている。顔に対して選択的に応答するニューロンは、さまざまな動物種にみられ、脳内で自然に発生するものなのか、あるいは視覚的経験に基づき発生するものなのかが議論されている。

パイク・セバム（Se-Bum Paik）教授が率いる研究チームは大脳の視覚野の腹側視覚路（ventral stream）の性質を取り込んだニューラルネットワークモデルを用いて、訓練されていない深層ニューラルネットワークにおいて、ランダムな順伝播型（feedforward）の接続により顔選択性が自発的に生じることを発見した。この顔選択性は、生物の脳の顔選択性ニューロンと同様の性質を持つことが示された。また、ネットワークがこの性質を用いて顔検出タスクを実行できることが分かった。

今回の研究成果についてパイク教授は「生物と人工知能の生得的機能の発達に関わるメカニズムをより深く理解し、知能の発生と進化に関する謎を解明することにつながる」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部