2022年02月
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可視域全体で負の屈折を生じさせるスーパーレンズを開発 韓国・POSTECH

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は、垂直型のハイパボリックメタマテリアル(hyperbolic metamaterial)を用いて、可視光線の波長域全体で負の屈折(negative refraction)を生じる「スーパーレンズ」を初めて開発した。2021年12月16日付発表。

従来の光学顕微鏡ではウイルスや細菌の本来の色を表現した高解像度のカラー画像を生成することはできない。しかし、可視域全体で負の屈折が生じれば、回折限界(diffraction limit)を超える高解像度の画像を生成できるため、これが可能になる。

ハイパボリックメタマテリアルを用いることで自然材料には存在しない負の屈折を生じさせることができるが、金属と誘電体の層を水平方向に重ねた従来のハイパボリックメタマテリアルでは、狭い波長帯域でしか負の屈折を起こすことができない。垂直型のハイパボリックメタマテリアルを用いることでこの帯域を広げることが理論上可能だが、作製プロセスの難しさから、実証されたことはなかった。

(提供:POSTECH)

そこで、POSTECHで機械工学を研究するロ・ジュンスク(Rho Junsuk)教授と博士候補生のチョ・ハンリュン(Cho Hanlyun)氏が率いる研究チームは、ハイパボリックメタマテリアルの性質と負の屈折が可能な層の厚さの最大値との関係を研究し、従来のナノ加工装置を用いて作製できる垂直型のハイパボリックメタマテリアルを開発した。

実験により、この新材料は、450~550ナノメートルの波長域で負の屈折を示した。理論的には可視域全体を含む広い波長帯域で負の屈折を起こすことが可能だという。

将来的には、このような広波長帯域で負の屈折を生じるハイパボリックメタマテリアルを作製し、超高解像度のフルカラー光学顕微鏡等に利用できる可能性がある。

ロ教授は「ウイルスや細菌の正確な画像の生成等、ナノ光学を産業用途に応用できる可能性を示した」と本研究の意義を語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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