2022年02月
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ヒト染色体の凝縮に関する3次元構造を解明 韓国POSTECH

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は1月14日、同大学の研究チームが、放射線加速器(radiation accelerator)を用いてヒト染色体の3次元構造を高解像度で観察することに成功したと発表した。研究成果をまとめた論文は学術誌 Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of AmericaPNAS :全米科学アカデミー紀要)に掲載された。

POSTECH物理学科のソン・チャンギョン(Song Changyong)教授らは、光州科学技術院(GIST)の研究者と協力し、第3世代シンクロトロン加速器のX線を用いて、ヒトの染色体をナノメートルレベルの解像度で観察した。

(提供:POSTECH)

細胞が分裂する際に、DNAが絡まりを防ぎながら100万分の1の大きさの染色体に凝縮する現象とその三次元構造は、研究者の間で長年の謎となっていた。

本研究では、水和して急速凍結し、極低温下で保存した染色体を、シンクロトロンからのコヒーレントX線を用いて観察した。これにより、染色体を薄く切ったり染色したりする従来の手法と異なり、本来の状態で染色体の3次元構造を解明することに成功した。

本研究により、染色体は、先行研究で述べられていたような階層構造ではなく、フラクタル(fractal)構造を持つことが確認された。さらに、染色体の凝縮過程を示す物理モデルが提示された。

ソン教授は「今回開発した技術は、遺伝子学に関する理解を深めるだけでなく、詳細な構造が重要なウイルス等の物質の3次元構造を解明する鍵となる」 と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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