2022年02月
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移植拒絶反応を予測する人工血管プラットフォーム開発 韓国チーム

韓国のチームは臓器移植の拒絶反応の可能性を減らそうと、実際の血流と血液凝固を模倣する人工血管プラットフォームを構築した。

AsianScientist - 免疫システムは病因となる外部からの侵入を防いでくれるが、重要な臓器移植に対する拒絶反応を活性化することがある。 韓国のチームは、移植拒絶反応を予測する人工血管プラットフォームを開発した。この発明の詳細は Science Advances 誌に掲載された。

病気や怪我によって臓器機能が失われることがある。臓器移植には高い需要があり、通常はドナーから供給可能な数を上回っている。ブタの心臓弁などの動物組織を使うとドナー不足を補うことができ、コストの低い医学的介入が可能になる。

しかし、そのような異物の導入が免疫応答の原因となることがある。一般的には、血栓や血管閉塞を引き起こし、移植組織の破壊につながる。移植拒絶反応リスクの低い動物臓器を設計している科学者はいるが、それらの適合性を評価する方法は限られている。

このため、韓国科学技術研究所(KIST)、ソウル国立大学病院、延世大学の研究者たちは、移植に対するヒトの免疫応答をシミュレートするために新しい人工血管プラットフォームを開発した。

チームは、血管の主成分であるコラーゲンとフィブリン繊維でできたチューブ型に液体ヒドロゲルを注いだ。固化させた後、人工プラットフォームは、人間の循環器系に非常に類似した構造特性と生理学特性を呈した。

この革新的方法により、血流と血圧をシミュレートする微小環境が生成される。潜在的な血栓が視覚化され、研究者は移植の成功・失敗の可能性について評価できる。この新しい方法は、3日もせずに血管を生成した。1~3週間かかる既存の細胞培養法よりもはるかに速い。

次に、研究者らは遺伝子組み換えを行ってブタの血管を設計し、マウスモデルおよび循環するヒトの血液を備えた人工血管プラットフォームを使用して試験を行った。どちらの場合も、遺伝子に加えられた変更のおかげで免疫拒絶反応は効果的に抑制された。

この結果はブタの血管が持つ有用な可能性を示すばかりでなく、好ましくない免疫応答を予測し、移植を安全に成功させることのできる人工血管プラットフォームの価値を明らかにしている。

「人工血管プラットフォームは、企業や病院で新薬や免疫療法剤をスクリーニングするための前臨床ツールとして使用できるかもしれず、実用化が可能でしょう」

KIST の共同執筆者であるジュング・ヤングミー (Jung Youngmee) 博士はこのように展望している。

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